学外FD研修・セミナー参加報告

学生が考えて動く教育活動 ─ 学生FD ─

 

薬学研究科 薬科学専攻
修士1年
小野田 淳人
 

 FDとはFaculty Developmentの略であり、“大学の教育をよくする活動”として知られています。対して、学生FDの存在はご存知でしょうか? こちらは耳にしたことのない方も多いと思います。事実、東京理科大学では、他大学に比べて学生FDが盛んに行われているとは言い難い状況です。私は、今回で8回目となる学生FDサミットに参加、発表してきました。本書では「学生FDサミット2013 夏」で学んできた内容を報告したいと思います。
 

 学生FDとは、単なるFDとは異なり、“学生が考えて動くFD”です。したがって学生が大学の教育について考えて活動することを指します。一言で学生FDといってもその活動は非常に多岐にわたりますが、ポスター発表や分科会の発表を聞き、現在の学生FDは大きく3つに分類できる印象を持ちました。1つ目は「授業改善」です。ここには、学生目線でよい授業を探し、それを紹介する活動や学生たちの声を授業に反映させる活動などが含まれます。多くの大学では、学生の作成した評価項目に基づく授業改善アンケートの実施を主たる活動としていますが、精力的な大学では、学生が企画考案した授業を実際の大学の講義に組み込み、単位を与えるといった活動も行われているようです。2つ目は「教育制度」です。ここには、カリキュラムやシラバス、成績の評価方法などを学生が学生なりに評価し、それを大学へ進言する活動が含まれます。この活動では、単に悪いところや改善点を大学側へ指摘するだけでなく、自分たちの大学の教育方法の良いところなどを職員とともに学生全体へ広報するなど、大学側から学生側への広報を支援する活動も目立ちました。3つ目は「教員との交流」です。ここには、学生が教員に対して気楽に話し合える「学生と教員のしゃべり場」「学長カフェ」などが含まれます。このような企画は、講義以外に学生が教員から多くのことを学べるだけでなく、学生が何をどう考えているのか、学生の生の声を教員が聴くことができるため、非常に価値のあるものだと思われます。

 これまでの学生FDは、以上に挙げたような活動が主流ですが、立命館大学の木野茂教授は学生FDが更なる広がりを見せているとお話しされていました(図1)。具体的には、学生自治会は古くからある学生団体の一つですが、学生の要求をただ単に大学側にぶつけるだけでなく、大学と一緒になって教育をよくしていこうという活動になればそれも学生FDとなります。また、大学が主体となって運営される教育サポーター(ES:Educational Supporter)やティーチングアシスタント(TA:Teaching Assistant)なども、学生らが与えられた業務を単にこなすだけでなく、そのサポートのあり方や意義を考え、自分達の手でよくしていこうとする意識があれば非常に質の高い学生FDとなります。実際に、私も本学のESとして学生への教育を考えて業務を行っており、ひとつの学生FDを実施していると言えると思っています。

 

 

 そこで本サミットで、私は東京理科大学・教育開発センター学習相談室のESとしてポスター発表を行ってきました(写真)。持参した200部の縮小ポスターも全てなくなり、非常に多くの方が私のポスターを閲覧し、本学の活動に興味を持ってくださいました。特に、本学教育開発センターのアドミッション小委員会が調査した初年度教育の重要性を説いたデータに対し、教職員の方々が非常に参考になる重要なデータであると口々に評価してくださいました。また、学生の参加者からは、本学の学習相談室の運営形態や目的、意義が明確でわかりやすいため、自らの行っている学生FD組織に持ち帰り、参考にしたいと言ってもらうことができました。こうした数多くのお褒めの声をいただき非常にうれしく感じました。一方で、インターネットを用いた新しい学習相談の方法に関するアドバイスを受けたり、実際の効果は数字として表れているのか、追跡調査は十分であるのか、といった厳しいご意見も頂きました。全体として、本学の活動に興味を持っていただき、私達の活動に対する数多くの助言や活発な議論ができ、非常に有意義な時間でした。

 

 前述の通り、本学ではまだ学生FDが活発に行われていない現状にあります。しかしながら、学生FD自体は急速に範囲を拡大しているとはいえ、まだまだ年月の浅い活動です。焦ることなく、まずは現在行われている学習相談室のESや各授業、実習のTA、教員志望の学生といった、教育に対して高い興味を持つ学生たちに働きかけ、学生の中の教育意識を高めていくのがよいかと思われます。その後、上記のような他大学の活動を参考にして、本学独自の学生FDを徐々に進めていくのがよいと考えられます。特に東京理科大学は、本サミットに参加していた他の大学とは大きく異なり、大学院への進学率が非常に高く、また理系総合大学であるという特徴を持っています。そうした本学の良さや特徴、性質に合わせて、独自の学生FDならびにFDを活発に盛り上げていくことが効果的であると思います。

 最後に補足的に述べますが、本学で学生FDが盛んに行われていないことは必ずしも悪いことではないと思います。それは、教職員の教育が良く、学生らが不満を持っていないことの裏付けであるとも受け取ることができるためです。しかし、そうはいっても、すでに改善するところが無いほどの高みにあるとは言い切れません。授業をはじめとする学生生活、大学教育をよりよくしていためには、少しでも上を目指して学生・教員・職員が一体となって、大学の教育に対して考えて行動することが大切だと思います。私個人、東京理科大学の前身である東京物理学校が、大学生らの極めて高い理学教育普及の意識から生まれたものである以上、それを運営する教職員はもちろんのこと、学生たちにも教育という点において高い意識を持ち、“考動”してもらえることを切に願っています。